2012年4月19日木曜日

悪化一方の地方医療をどうするのか - 熟年の文化徒然雑記帳


   久しぶりに穏かで温かい日の午後、外出から戻ってまだ明るかったので庭に出て庭仕事を始めた。
   2週間ほど前に、同じ様に庭仕事をしていて、ブロックで手を挟んで小指を怪我したのであるが、それもどうにか落ち着いてきたからでもある。
   何故こんなことを書くかと言うと、先日、TVで全国の長生きの県別順位を発表していて、男の場合に東京が上位にランクされていたのだが、これは、医療制度が整っているからだと思ったからである。

   と言うのは、小指を怪我した当日、何時間経ってもどうしても血が止まらなかったので、土曜日の夜遅く、救急病院に行って手当てをして貰ったのである。
   電話を架けて行っても良いかと尋ねたら、今、手術中ではないので直ぐに来いと指示を受けたので、その言葉に甘えた。とにかく、地方格差の進行で無医村や、必要な医者や看護士のいない病院がどんどん増えているにも拘らず、私の場合には、トカイナカであるけれど、幸いにも至近距離に、大学付属病院があり、何時でも医療サービスを受けられる状態になっている。


どのように我々は道徳的価値観を拒否するのですか?

   余談ながら、小指の傷だが、30センチ四方の重いコンクリート・ブロックに圧殺された形で、爪が離れただけだと思っていたのが、実際には、爪に肉がついたまま肉離れして浮いてしまっていたので、血が止まらず痛かったのである。
   江戸時代に、爪剥がしの拷問があったと言うのを思い出したが、飛び上がるほど痛くて、その痛さが5分間くらい止まらず、その後、血がぼたぼた落ち始めた。
   化膿しなければ良いがと言われて、破傷風の注射を打ち薬を貰って月曜日に来いと指示を受けて帰った。たとえ、小指でも、時間外に緊急医療サービスで専門家の手当てを受けられたのは幸せと言う外はない。

   話を元に戻すが、私など、海外が長く、世界各地を、それも時には文明にも文化にも程遠いところで過ごしたこともあり、あっちこっちで、大事には至らなかったが病気にかかって入院したり、色々な所で医療サービスを受けてきた。
   手術を受けたのは、東京なのが、不幸中の幸いでもあった。しかし、高血圧の薬を飲んで結構長いし、何れにしろ、十分な医療サービスが受けられなかったら、昔なら命を落としていても不思議ではなかったかも知れないと思っている。
   そう言う意味でも、医療施設に恵まれた東京人が長生きするのは当然だと思うのである。


ここで、ロビンスに移行しますか?

   日本の場合には、国民皆保険と言うか、国民全員が、優良な医療サービスを受けられる制度が、世界的にも比較的良く整っていると思うのだが、欧米の場合には、医療の沙汰も金次第と言った状態である。健康保険の民営化は進んでいるが、金持ちは優良な医療サービスを享受できるが、貧しい人々にはその恩恵がとどかないケースが多い。
   今回の大統領選挙で、民主党が勝つと、それも、ヒラリー・クリントンだと、健康保険の大改革を行うであろう。アメリカでは、国民の数十%は保険に入っておらずまともな医療サービスなど受けたことがないのである。


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   ところで、同じ千葉でも、まともな医療体制の整っていない市町村はいくらでもあり、私など、阪神間や、大阪、東京など便利な都市圏に暮らした経験しかないので、いざと言う時に、医療サービスを受けられないような所に住んでいたらどうしようかと思う。
   尤も、私の場合にも、海外出張途中、何度も傷みを堪えて回復を待ったことがあり、どうにかこうにか、自然に治ったり、医療サービスを受けられる所まで耐えて事なきを得たことがあり、人間の体の自然治癒力が可なりあることを経験して知ってはいる。
   しかし、一般的な地方格差の拡大以上に、医療格差はもっと深刻で益々拡大していると言うのは由々しき問題であり、抜本的な対策を取らないと大変なことになる。まず第一に、憲法第25条「すべて国民は健康にして文化的な生活を営む権利を有する」の条文に反する。


   
   政府の今のような対応なり考え方では、郵政民営化と同じで、益々、地方切捨てと言うことになろう。
   何故なら、郵便局は、政府の仕事であったから、全国津々浦々同じ質のユニバーサル・サービスが出来た訳だが、民営化と言うのは、自分自身で経済原則に基づいて収支を合わせて経営せよと言うのであるから、金にならない非効率な地方業務等は切り捨てよと言うことである。そうでなければ経営が成り立たないし、そのことは、地方の交通体制を壊滅させた国鉄の実例が如実に示している。
   民営化とか、私企業の経営とかと言うのは、鳴り物入りでCSRや経営モラルや企業倫理の高揚を声高に叫ばない限り、社会の厚生福利や国民の幸せの為に自動自立的に働くなどとは、経済原則で動く以上絶対にあり得ないのである。


   私は、政府が行っている地方交付金や補助金と同じで、政府自らが、地方に専門家を含めた医療システムを、行政命令で、交付ないし派遣すべきであると思う。
   地方大学の医学部出身の医者が殆ど東京など都会地へ出向いて地方に残らないと言われているが、こと医療に関しては、日本の場合は、経済原則を優先すると、益々、地方格差が拡大して取り返しがつかないことになる。
   あまりにも、程度の低い厚生労働省なので、言いたくはないが、敢えて邪道を言えば、医療制度こそ政府の介入をもっと強くして、強力な政策を打ってユニバーサルサービスを目指すべきだと思うのである。
   そうすれば、健康保険制度の抜本的解決も可なり図れると思われるのだが、どうであろうか。



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